爪を立てて

歪んだ愛情10のお題
ガイ様華麗に最低男期間中
※軽くグロ注意※
3 爪を立てて
「なぁ、ガイ。ごめんって。」
必死に笑顔を作りながらルークは俺に笑う
椅子に深く腰掛け、所在なさげに足をぶらぶらさせているが
その足の脹脛には大きく傷が残っている
「ティアの譜歌で癒してくれたから痛みは無かったんだってば。」
「……。」
血こそ止まってはいるが傷跡はまだ生々しくそこにくっきりと浮かんでいた
俺は黙ったまま手馴れた様子で白いガーゼに消毒液を染み込ませる
「ガイってば、聞いてるか?ガ〜イ〜?」
ぶらぶらさせてた足を俺の腕に当てて言う
黙ったまま作業を続けるこの沈黙に耐えられなくなったのか、ルークは少し拗ねた表情を浮かべる
ルークの足を乱暴に掴み、消毒液を含んで重くなったガーゼを傷口に当てる
「〜〜〜っ。」
声にならない痛みを耐え腕で足を強く引っかく
「傷になるぞ。」
引っかいたルークの足は白い肌に映えるように赤く腫れ、俺は自分の中で何かがざわめくのを感じた
「全く。残ったらどうするんだ。」
赤く腫れた傷をゆっくりとなぞり消毒が必要ないことを確認する
「俺は女じゃないから残ったっていいだろ。」
そんなに痛かったのか潤んだ瞳を俺に一瞬向け、ルークは足の傷に息を吹きかける
「残っても問題は無いが、残らないに越した事は無いだろう?」
「やっと機嫌直った?」
ルークは息を吹きかけるのを中断し、締まりの無い安堵の表情を浮かべて笑う
「今回の事はお前が悪いんだからな。反省しろよ」
「なんでだよ。あの場面で避けたらティアが危なかっただろ。」
「……。」
黙る俺にその意見だけは曲げられない、とばかりに窺うルーク
このままでは平行線だ
「ルーク。」
途端ルークの肩が跳ねたように揺れる
昔にもあったな
確か、そうだ。
俺が欲しくて欲しくて堪らない譜業をやっとの思いで手に入れて、でもそれをルークが壊した時だ
俺はルークの突き出た足を右手で掴む
その足にはまだ傷跡が生々しく残っている
「…ガイ?」
不安げに揺れる声に、笑う
「例え、名誉の負傷だとしても。お前の身体に傷が残るのは嫌だ。」
俺は掴んだ右手にぐ、と力を入れる
「ガイっ。」
びくりと震わせ足を引っ込めようと、俺の拘束から逃れようとするルークの足をそれでも離さない
その滑らかな肌に刻まれた傷跡は赤く
大きく開いたその傷口はうっすらと濡れている
「傷が残ってもいい?そんなはず無いだろう?」
力を込めた右手の中指を立てる
爪の先が傷口を掠め、ルークは息を止める
「なぁ、ルーク。」
掠めるように触れる爪を少しだけ食い込ませる
と、ルークは眉を寄せ綺麗な顔は不安と畏怖に歪みその指を見ている
両腕で振り払わないのはまだ状況が理解できていないのと、昔俺に起こられた記憶が邪魔をするのだろう
「傷が残ったら、悲しいだろう?」
「ガイ、止めろって。」
笑って誤魔化せる許容範囲ではない
冗談だろ、と笑うルークの笑みもやはり歪んでいる
「残ったら、悲しいよな。」
俺以外につけられた傷跡なんか
ぐ、と立てた爪を傷に押し当てる
爪先から伝わるルークの温かい体温は俺の身体に伝わる
痛みで漏れるその声はとても欲情的で、まるで情事のようではないか
痛みで力の入った脚は硬く、その足は反っている
足の指は極限まで開き、爪を動かすたびに足指が前後に動く
俺の指に反応を示す様が奮い立たせる
普段黒い大き目のズボンで隠れている白い脚には一筋、赤いものが伝う
「ガイ!痛い。」
ルークは足を力一杯引き、俺の拘束から逃れた
その顔には俺への不信感と畏怖
「何考えてるんだよ。」
釣りあがった目で俺を一点に見据えるルークに軽く謝り、再び脚を取る
怪訝に反応しつつ、ルークは言われるままもう一度脚を差し出す
これが7年間で培った信頼関係だろう
「すまん。」
顔を伏せ、笑みを隠す
ルークはその様子を反省と取ったのか、「大丈夫」と答え笑う
「傷残ったらどうすんだよ。」
「いいんだよ。傷ぐらい。」
「お前さっきといってる事違ぇじゃん。」
「ルークが言ったんだろ。『傷なんか残ってもいい』って。」
軽口を叩きあい手当をする間も、浮かぶこの笑みを
爪を立てたときの、お前の姿に欲情したんだ