俺だけを見ろ







歪んだ愛情10のお題

ガイ様華麗に最低男期間中




















2 俺だけを見ろ



じっ、と鏡を見ている姿が映る

「今更自分の姿に見惚れちゃったのか?ナルシスト〜。」
風呂上りのタオルを鏡に被せ、俺はその頭に肘を置く

「ちっげぇよ。」
ルークは自分の頭の上にある俺の腕を叩き、頭を左右に激しく振る
じっとしていた頭が急に動いた為俺の腕ががくり、と落ちる
短く驚いた声を上げ、両の足で踏ん張ればオリジナルより僅かに薄い緑色の瞳は細められた

「ばぁ〜か。」

燃える髪を揺らしてルークは楽しそうにからからと笑う

今その瞳は、俺だけが写っている

「で?どうしたんだ。ルーク」
張り付くように鏡を見ていたルークはその鏡の向こうに何かを見ていた、ように見えた
ルークは表情を落とし、小さく口を開く
「俺の姿って、似ているようで劣化してるんだな、って思ってた。」
髪も瞳も力も全てそっくりなコピーのように見えて、劣化品

「劣化劣化って…。アッシュでなくお前を親友としてる俺の立場はどうなるんだよ。」
髪を拭う手を止めルークの額を右手で叩く

叩かれた額を左手で撫でながらルークは問う
「ガイは、まだアッシュが嫌いなのか?」
嫌い
まぁなんと幼い言い方だ
「嫌い、というか…。そうだなぁ、気に食わない。かな。」
「笑顔で言うなよ。」
ルークははぁ、とため息を付きグラスに口をつけた
俺はその様子を黙って見守る

お前は知らないだろう?
知らなくていいよ

「ほら、ルーク。もう寝るぞ。」
ルークの手からグラスを奪ってまるで片すように棚へ向かう
後ろでは「あ、さんきゅ。」とルークの声が聞こえた

「なぁガイ。アッシュと話してみてくれよ。」
ルークはベッドに入りながらガイに言う
「あぁ、一段落したら、な。」
物陰に居る俺は優しく、優しく答える
ルークはそれで満足したのかおやすみ、と呟く

「おやすみ、ルーク。」

お前がアッシュを見ている限り、俺はアッシュを許さない

「許さない、じゃないな…。」
呟きながら右手に力を込める

ぱりん、と高い音が小さく響いたかと思えば右手に鋭い痛みが走る
粉々になったグラスは手に食いついて離れない
俺はその破片をゴミ箱に叩きつけた

ゴミ箱の底に転がるそれは赤く、まるで彼を粉々に打ち砕いた姿のようで自然と笑みが浮かぶ
「許さないんじゃない、憎くて憎くて堪らないんだ。」

あの薄い緑色の瞳に映るもの全てが憎くて堪らない

お前の瞳を映す鏡も、グラスも、お前が心配するアイツも

眠るルークの閉じられた瞼をそっと舌でなぞる

この緑色の至宝は俺を映す為にあるのだから